亀山知英 | Tomohide Kameyama

2025年9月21日(日)より亀山知英の個展「TO-RI-NO-KI」を開催いたします。
弊画廊では初となる亀山の個展は、亀山が活動の場としている群馬県館林市内の家の廃建材を用いたブリコラージュ(手元にある道具や材料を寄せ集めて新しいものを生み出す手法)による作品を展示いたします。
約50点もの最新作や近年の作品群を是非体感してください。

会期 2025年9月21日(日) – 10月5日(日)
時間 10:00 – 18:00
定休日 水曜(会期中9/24, 10/1)
場所 ギャラリー碧
   栃木県足利市巴町2547
   Tel. 0284-21-3258
   Mail. info@g-heki.com

亀山知英 Tomohide Kameyama
1962 群馬県生まれ
1987 創形美術学校版画科卒業、東京
1988 創形美術学校研究科版画課程修了、東京
1991 文化庁芸術家国内研修員
1995-97 レジデンス Cité internationale des arts、パリExhibition
現在 15年間のパリ生活を経て群馬県にて制作

主な展覧会
1988 シロタ画廊、銀座
1989 ギャラリー0、群馬 (’91, ’94)
1991 六義園画廊、東京
1992 柳沢画廊、浦和 (’94, ’98, ’01, ’11)
1993 ギャラリー玄、韓国
   ギャラリー砂翁・トモス、東京 (’97)
   ギャラリーライム、群馬 (’94, ’95, ’96, ’97)
1994 ギャラリー219、東京 (’00)
1995 ギャラリー福山、東京
   ギャラリーアートワーク、静岡
1996 フェリシアン・ロプス美術館、ベルギー
1997 ベルグラード文化センター、旧ユーゴスラビア
   ギャラリー惣、東京 (’02, ’04)
2000 ギャラリーライム、群馬 (’02, ’04, ’09)
   ギャラリー La HUNE Brenner、パリ (’03, ’05, ’10)
2001 ギャラリーMultiple Impressions、ニューヨーク
   ギャラリーEspace Parallèle、ブリュッセル (’10)
2003 Atelier de Lascelles、カンタル(フランス)
   サロン・ドートンヌ、パリ
2004 ギャラリーAmacla、ツールーズ(フランス)
   みさき画廊、大分 (’06)
2007 La Vitrine、パリ
2011 アートギャラリーミューズ、群馬
2012 養清堂画廊、銀座
   「Drawing 50 years Exhibition KOREA 2012」芸術の伝道、ソウル
   「館林ジャンクション-中央関東の現代美術」群馬県立館林美術館、群馬
2013 「World Printmaking one」Mile End Art Pavilion、ロンドン
   「第3回太田ビエンナーレ2013」、群馬県太田市学習文化センター展示ギャラリー
2014 「館林Re-project(市内の既存建築物の再利用を考える会)観撮異見・写真展」
   アート・インスタレーションを担当(旧タデヌマ洋品店・群馬)
2015 第5回東京ミニプリント・トリエンナーレ2015(多摩美術大学美術館)
2016「第2回観撮異見・写真展」アート・インスタレーションションを担当(旧永寿堂医院・群馬)
   「館林Re-project in館林美術館」を企画。美術館前庭内に関連作品「ブリコラージュ・トタンアート‐山」を制作・展示
2017 Koto Art「モノ・コト・ハンガ」亀山知英・版画インスタレーション展、群馬(個展)
2019 ギャラリーかなやま 群馬(個展)
   「第9回R293美術展-再起動」に於いて古トタンを使用した立体作品『見える景色』を展示(栃木県佐野市文化会館企画)

受賞歴
1987 創形美術学校卒業制作、一席賞
   「大学版画展」町田国際版画美術館、買い上げ保存賞
   「日本版画協会展」東京都美術館、奨励賞
1988 「日本版画協会展」東京都美術館、新人賞
1990 「現代具象版画展」有楽町そごうデパート、優秀賞
2000 パリ国立図書館発行の雑誌“ヌーベル・ドゥ・レ・スタンプ”に制作論を寄稿
2003 「サロン・ド・オートンヌ」パリ、jeune gravure 賞  

主なコレクション
創形美術学校(東京)
長安美術館(韓国)
フェリシアン美術館(ベルギー)
金沢美術工芸大学
アートテック・サンモール(フランス)
メディアテック・フランソワ・ミッテラン(フランス)
アートテック・ジュラ(フランス)
メディアテック・インターコニュナル(フランス)
フランス国立図書館(パリ)
佐喜眞美術館(沖縄)
山梨県立美術館

菊地匠「土星、惑うもののために」

 11月16日より菊地匠の個展「土星、惑うもののために」を開催いたします。
1年半ぶり5回目の本展は新作13点を発表予定です。どうぞご高覧ください。

日時 11月16日(木) ー 11月28日(火)
休み 11月22日(水)
時間 10:00 ー 18:00

ある外国の詩が翻訳されていた。
元の言葉は知らないが、
美しい韻律があったのではないかと思う。

いつかのオランダでは、
誰かが亡くなった家の鏡や絵画に黒い絹を掛けたという。
死者がこちらにとどまってしまうことのないように。

或いは土星とはメランコリーが生まれてくる場所であるとか、
そんなようなことを考えて絵を描いている。

菊地匠 Takumi Kikuchi プロフィール
1991 栃木県足利市生まれ
2015 東京芸術大学美術学部日本画専攻卒業
2017 同大学大学院美術研究科芸術学専攻修了
    個展「朝には消えていた天使」ギャラリー風 銀座
2018 『美術教育の可能性』(小松佳代子 編著、勁草書房)
    第七章「芸術における「隔たりの思考」」執筆
2019「 ABR on ABR 展」長岡造形大ギャラリー 新潟
     個展「In Pause.」ギャラリー碧 栃木、足利
2020 「ART = Research 探究はどこにあるのか」小山市立車屋美術館 
     個展「in Platea」ギャラリー碧
2021「エマージング・アーティスト展」銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM
2022「re」biscuit gallery 渋谷
「たえて日本画のなかりせば:東京都美術館篇」東京都美術館
 「MEET YOUR ART FESTIVAL」恵比寿ガーデンプレイス 
    個展「halon」THE LOOP GALLERY 西新橋
2023   個展「左手の庭」MON GALLERY 京都、中京区 

Takumi KIKUCHI “Saturn, for the Planetes”
Date: Thursday, Nov 16th – Tuesday, Nov 28th, 2023
Closed on Wednesday (Nov 22th)
Opening hours: 10:00 – 18:00

菊地匠「from A」

この度ギャラリー碧では菊地匠の4回目の個展を開催いたします。
1991年栃木県足利市生まれ。2015年東京芸術大学美術学部日本画専攻卒業。2017年同大学大学院美術研究科芸術学専攻修了。現在は東京、足利にて制作。

菊地匠のワイプオフをはじめとする自身の関与を抑える手法が、本展では空白の作成へと向かった。

新作であるカラバッジオ『聖マタイと天使』、マネ『オランピア』のオマージュ作品を原作と見比べると、元の対象物が大胆に切り取られていることが分かる。その手法は削除や切り抜きといったデジタル処理の技術を彷彿させる。そしてキャンバスに広がる余白からはデザイン制作に使用されるアプリケーションの『アートボード』のような空間が想起される。アートボードは絵画における支持体とはまるで別物で、そこで構成されたオブジェクトは何度でも簡単に「なかったこと」にできる。また、菊地のそれはもの派における空白とも違い、素材や自然に回帰することを許さない。

“深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている” 哲学者ニーチェのいう深淵のごとく、菊地の空白は自己の不在を究極に押し進めたものといえるかもしれない。

ここから見えてくるものはなにか。本展の詩作で菊地が指摘する顔と絵画の「類似性」にその一端が現れる。菊地は前個展『In platea』刊行誌の中で絵画における自律性をマネの画中に認めた。19世紀パリを舞台に、虚ろな表情の人物を描き続けた大作家の作品から都市に自由が浸透する一方、人々が自らの生を自ら受け止めざるを得なくなった背景を読み解いた。つまり、絵画が不可逆的(元に戻らない、一方的)な性質を帯びることを挙げたわけだが、顔という器官もまたそれを強く示唆すると菊地はいう。

20世紀フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスによれば、顔は地位や属性、服の着こなしといった社会性をまとうことなく人の本質をありありと表現する。つまり顔は顔であるだけで意味があるという。

曖昧な表情とは主題を持たない人の本質を表しているともいえ、不可逆的な存在とはまさに人の生そのものといえる。ではこうした生を菊地は自作でどう表現したか。

詩作には花や天使、巨人であるアトラスが人知れず佇む様子が読まれる。世界と自身とを隔てる煉獄のような空白、そこで露わになる現実への強い衝動や生への渇望。それらが行き場もなく永遠に彷徨うものとして描かれる。ここにこそ菊地の真骨頂が見て取れるのではないか。

神なき時代、それは過剰で痛々しい現実を媒介せずには生を実感できない時代ともいえる。であるならば菊地のように遠く生の鼓動を聞きながら、日常に転がる会話や記憶の断片を拾い集め、記録する行為を今、尊く想う。

会期 4月28日‐5月10日
定休日 5月4日
時間 10:00-18:00