from A
2022年
161 x 130.5 cm
紙、アクリル
SOLD
タグ別アーカイブ: 菊地匠
菊地匠「from A」

この度ギャラリー碧では菊地匠の4回目の個展を開催いたします。
1991年栃木県足利市生まれ。2015年東京芸術大学美術学部日本画専攻卒業。2017年同大学大学院美術研究科芸術学専攻修了。現在は東京、足利にて制作。
菊地匠のワイプオフをはじめとする自身の関与を抑える手法が、本展では空白の作成へと向かった。
新作であるカラバッジオ『聖マタイと天使』、マネ『オランピア』のオマージュ作品を原作と見比べると、元の対象物が大胆に切り取られていることが分かる。その手法は削除や切り抜きといったデジタル処理の技術を彷彿させる。そしてキャンバスに広がる余白からはデザイン制作に使用されるアプリケーションの『アートボード』のような空間が想起される。アートボードは絵画における支持体とはまるで別物で、そこで構成されたオブジェクトは何度でも簡単に「なかったこと」にできる。また、菊地のそれはもの派における空白とも違い、素材や自然に回帰することを許さない。
“深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている” 哲学者ニーチェのいう深淵のごとく、菊地の空白は自己の不在を究極に押し進めたものといえるかもしれない。
ここから見えてくるものはなにか。本展の詩作で菊地が指摘する顔と絵画の「類似性」にその一端が現れる。菊地は前個展『In platea』刊行誌の中で絵画における自律性をマネの画中に認めた。19世紀パリを舞台に、虚ろな表情の人物を描き続けた大作家の作品から都市に自由が浸透する一方、人々が自らの生を自ら受け止めざるを得なくなった背景を読み解いた。つまり、絵画が不可逆的(元に戻らない、一方的)な性質を帯びることを挙げたわけだが、顔という器官もまたそれを強く示唆すると菊地はいう。
20世紀フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスによれば、顔は地位や属性、服の着こなしといった社会性をまとうことなく人の本質をありありと表現する。つまり顔は顔であるだけで意味があるという。
曖昧な表情とは主題を持たない人の本質を表しているともいえ、不可逆的な存在とはまさに人の生そのものといえる。ではこうした生を菊地は自作でどう表現したか。
詩作には花や天使、巨人であるアトラスが人知れず佇む様子が読まれる。世界と自身とを隔てる煉獄のような空白、そこで露わになる現実への強い衝動や生への渇望。それらが行き場もなく永遠に彷徨うものとして描かれる。ここにこそ菊地の真骨頂が見て取れるのではないか。
神なき時代、それは過剰で痛々しい現実を媒介せずには生を実感できない時代ともいえる。であるならば菊地のように遠く生の鼓動を聞きながら、日常に転がる会話や記憶の断片を拾い集め、記録する行為を今、尊く想う。
会期 4月28日‐5月10日
定休日 5月4日
時間 10:00-18:00
作品紹介 菊地匠
開催中 “SUPERFLUO”展
菊地匠「SUPERFLUO」
In platea 最終日
菊地匠「in Platea」
2020年11月5日(木) – 17日(火)
10:00 – 19:00
休廊日 11月11日
この度、ギャラリー碧では足利出身作家 菊地匠の2回目の個展を開催いたします。
昨年に続き開催する今回の個展のタイトルは「in Platea」。
これは、ラテン語で「中庭」や「通り」を表し、古代の中庭にいるような空間を演出いたします。
そのため、作家自身が作成したフレスコ画の壁を、ギャラリー内に設置、その中にさらに作品を展示するという菊地匠ならではの特別な空間となります。
すべて今回の個展のための新作で、約15点の作品が並びます。
ぜひ、この機会にしか体験できないアート空間をご覧に足をお運びください。
以下のお客様はご来場を控えるようお願いします。
・37.5度以上の発熱がある方
・咳、のどの痛み、くしゃみ、鼻水などの風邪の症状がある方。
・体調がすぐれない方。
・マスクの着用、手指の消毒にご協力ください。
菊地武彦・菊地匠 展
渡良瀬通信に掲載中
地元の情報誌「渡良瀬通信」さんに、今年ギャラリー碧で個展を開催した 菊地匠さんのインタビューが掲載されています。
2019年9月号です。販売もされていますが、足利・佐野・藤岡地区で読売新聞を定期購読されている方には、届いているかと思います。
ぜひ、お手に取ってご覧ください。
開催情報5-28
In Pause. 14日までです
いよいよ連休幕開け
In Pause. 【菊地匠 個展】
展示名 | In Pause. |
会期 |
2019年 5月2日(木)~ 14日(火) 休:8日 |
展示内容 |
この度、ギャラリー碧では足利出身作家 菊地匠の地元での初個展を開催いたします。菊地匠は、東京芸術大学で日本画を専攻した後、同大学大学院芸術学を終了。大学院卒業後には、自身で企画した個展を東京で開催し、その時すでに既存の日本画という概念の枠を超えた表現を発表。現代アート作家としてのスタ-トを切りました。この度の個展では、以前から試みている「In Pause」というテーマで、平面作品を中心としたインスタレーション型展示に初めて挑戦いたします。紙に顔料で描かれた花々や、人物像は繊細かつ新鮮で、観る人に爽やかな印象を与えます。しかし、一見しただけでは分からない、自身の哲学を裏に秘めており、制作技法にもその考えが現れています。 今回発表される作品は、すべて新作です。展示はあくまで平面作品が中心となり、その世界観をより人々に訴えかけるよう、インスタレーションが彩ります。作家自身何度も会場を視察し、綿密にイメージを構築した渾身の個展となります。 |
あしかが アートクロス |
今回の個展は、あしかがアートクロスに加わっています。足利を歩いて様々なアートイベントを巡る楽しい企画になっております。ぜひガイドブックを手に、参加してみてください。 詳しくはこちらを参照ください。あしかがアートクロス |
お電話でもお問い合わせを受け付けております。気軽にご連絡ください。TEL (0284-21-3258)