11月4日(木)より10年ぶりとなる丸尾康弘の個展「うしろのしょうめん」が始まります。
会期 2021年11月4日(木) – 11月16日(火)
11月10日(水)定休日
時間 10:00 – 18:00
この度ギャラリー碧では丸尾康弘の個展を開催いたします。
丸尾は1956年熊本県山鹿市生まれ、1982年東京造形大学造形学部彫刻専攻卒業。現在は桐生市と山鹿市にて制作。受賞歴に2000年第24回上毛奨励賞がある。主な展覧会に、1985年「茅沼彫刻シンポジウム」(釧路市)、1987年「海馬空間」東京都美術館、1989年なすび画廊(東京)、1991年「日独現代美術展」熊本県立美術館、2014年「夢の軌跡 群馬の作家59人展」高崎シティーギャラリー、2020年「丸尾康弘展 今、こどもたち」渋川市美術館、大川美術館(桐生市)など多数ある。
「ここ数年こどもたちの像を多く作るようになりました閉塞感が強まる世界の中で私の願いを込めたこどもたちの像を制作しています。」と語る丸尾の作品はこどもならではの柔らかでピュアな印象を与える一方、うつむき、戸惑い、憂いを抱える表情、歪曲した腕、本数の多い脚など独特な造形が強い存在感を残す。これはこどもたちを取り巻く現実を露わにしているとはいえないか。こどもを巡る問題の解決方法は一方的な傾向にあるという。そのコンテクストに身をおく丸尾の表現により、出てくる答えは常に多面的であることに気づかされる。ほぼ機械を使わず手仕事により向き合ったその丁寧な制作過程は、承認欲求が飛び交う場よりもよほど心が通った時間が流れているようだ。
「私自身もう亡くなってしまった見えない人たちとの会話が増えてきました。うしろの人たちとの会話に励まされています。」とも述べる丸尾は未来を生きるこどもを通じて、死者との対話、過ぎ去った時間の記憶を宿すことを追い求めているかのようだ。こどもに向ける眼差しのなかには自らが見守られてきた過去の時間も並行的に存在しているのであろう。
突然始まったニューノーマルにゆとりすら失われつつある現代。まずはニュートラルに立ち返る時間を持つことが必要なのかもしれない。
10年ぶりとなる本展では木彫13点、木彫スケッチ13点、ドローイング14点を展示予定です。是非ご高覧ください。