本日、寺村サチコ MY SWEET TOXICANTS 初日を迎えました。あいにくの雨となりましたが、淡い光の中で作品をより幻想的に感じます。(作家在廊予定日は、3月10日、13日、17日、20日午後となっております。)
あらためまして、ステイトメントのご紹介です。
寺村サチコ|Sachiko Teramura MY SWEET TOXICANTS 2018.3.8 – 3.20
1986 年兵庫県生まれ。2010 年多摩美術大学美術学部テキスタイルデザイン専攻卒業、2012年多摩美術大学大学院テキスタイルデザイン研究領域修了。現在は群馬県にて制作活動中。
受賞歴に2011 年前橋アートコンペライブグランプリ、2014 年2016 年グッドデザインぐんま奨励賞受賞。おもな展覧会歴に、2018 年彼女たちのまなざし(アーツ前橋、群馬)、2017 年群馬のシルクアーティスト2 人展(日本絹の里、群馬)、群馬の美術2017(群馬県立近代美術館)、2016 年買える!アート展(越後妻有里山現代美術館キナーレ、新潟)、2015 年中之条ビエンナーレ(旧廣盛酒造、群馬)、2014 年Upperud Cabinet of Curiosity(Dalslands konstmuseum、スウェーデン)など。
寺村サチコは染織という技法を駆使して、感情や生命とは何かを問い続ける作家だ。あらゆる関係性と時間の中から感情を抽出し、形を与える。作家自ら「キラキラ」、「ドロドロ」と語る作品には、卑近なまでのリアリティと女性特有のしなやかさが同居している。
形はどれも異様だ。アンバランスな身体、腫れた表皮、不揃いな組織、しかし一方で、ある種の強度も備えている。色鮮やかに増殖する造形物は、そのまま「花」や「ファッション」という女性のアナロジーともつながるが、そこに矛盾や躊躇はない。また、宙を舞う存在の軽さやしなやかさは、物質的剛性や信頼性が失われるほど逆説的に存在が際立つ。偶像を禁じたがゆえ、一神教の神はもっとも「存在」していたという原理に近いといえる。
嫉妬や憎悪でゆがんだ心も、現実との接点を失ってなお命をつなごうとする、その強烈な生命力に寺村は魅了されたのかもしれない。染織によって、寺村は布に生命を宿す。しかし、染料は布の種類により染まるものと染まらないものがあり、常に試行錯誤が必要だ。「ドロドロ」と壊れかけた心も、愛情と反目を繰り返し、いつか受容されることを待ち望んでいるではないだろうか。
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